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飾らないやさしい服を求めて採長補短の日々を慈しむ。
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これがタイ・ユワン族の赤だと思う
ラップレー郡の草木染め名人のおばちゃんに教えてもらった話の中でも、
とりわけ気になっているのが木の根っ子で染めた赤の話である。
 
おばちゃんが集めているアンティークの布を見せてもらった時に、
昔は赤を出すために木の根っ子で染めていたというのである。
草木染めで赤を出すと聞いて真っ先に思いつくのはラックカイガラムシだが、
そう言えば以前タイ人の先生に見せてもらったラオスの布は木の根っ子で染めた赤い布であった。
 
これはどうしても名前が知りたいと思い、資料をもう一度見直してみると、
確かにヨーパーという名前の植物の根で赤色に染まるという話だ。
そして友達にも調べてもらって分かったのは、ヨーパーとは日本ではニノジュースの
原料にもなるアカネ科のヤエヤマアオキという植物であること。
 
しかし、タイ・ユワン族の赤とは、ただ木の根っ子で染めただけのものではない。
先にマカーイ(Mallotus philippensis)という木の実で黄色に下染めをした上から、
ヨーパーの根で染めて深い味わいのある赤を生み出すのだ。
(現在では、タイ国内でヨーパーを見つけるのは困難である。)
 
そしてネットで調べてみると、日本にも緋色を出すために、ウコンやクチナシなどで
下染めしてからベニバナをかけるという方法が平安中期以降にあったという話ではないか。
美しい赤色を生み出すために、下地に黄色を使うという発想は国が違っても同じなのだ。
 
タイでは、ラックカイガラムシを集めることはそれ程難しくはなかったと思うが、
どうしてヨーパーを使っていたのだろうか?それは、ラップレーに来る前の
タイ・ユワン族の祖先が、メコン川の上流に住んでいたからではないだろうか。
 
これは憶測であるが、そこではラックよりもヨーパーの方が手に入りやすく、
それを使った染織技術も高かった。そして、その時に覚えた技術はタイに
移動した後も代々受け継がれ、タイ・ユワン族のナショナル・アイデンティティーを
継承するという、重要な役割を担っていたのではないだろうか。
 
色々な民族が入り混じってしまったタイの中でも、ラップレーは純粋なタイ・ユワン族の
子孫が多い場所かもしれない。その技術を知っている人たちがいなくなってしまう前に、
その貴重な染織技術を受け継ぎたいという人が現れるのを切に思う。

posted by tomo | 19:28 | 採長補短の日々 | comments(0) | trackbacks(0) |
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