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飾らないやさしい服を求めて採長補短の日々を慈しむ。
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母の織る愛情の布
今回の旅で、タイのイサーン地方の「母の織る愛情の布」という詩を思い出しました。
昔ながらの機織りと豊かな生活を如実に表した詩です。

 
以下、パイワリン・カーオガームの詩(月刊誌「芸術文化」19898月号に発表)
岩城 雄次郎氏 訳 をある方が修正したもの。

 カーオガームは1961年タイ東北ローイエット県生まれで母親の献身的な愛や自然の恩恵を
優しくうたうと同時に、社会の歪みや不公正にも鋭い告発の目を向けるタイの詩人だそうです。

 
母の織る愛情の布
 
母は桑を植え せっせとマユを育てる
愛情をこめて てきぱきと働く姿には 希望がある
 
清らかな手で どんどん絹糸をたぐり出し
時間をかけて 美しくつややかにそれを繰る
 
心のこもったその手で たんたんと紡ぎ出す絹の糸を
その一本ずつが 布になる
 
機(ハタ)を踏む足にこそ魂が 杼(ひ)を掴む手の動きにこそ
生命が宿る
 
母が織ってくれたばかりの布 家族の愛を結ぶ絹糸の
目にもまばゆい美しさ 心をつなぐ絹糸を 母は作り出す
 
母の捧げる絹を母が織り子に伝える 子は母からの布を身に纏う
 
その絹を作り給いし 母は偉い人 どの布にも 生命があり
心と魂が宿る なんとも美しく 織り上げられている
 
絹を織る ほそ腕の母の手はかつてはよく その手で子どもを叩いたものだ
そして この同じほそ腕が生きる苦難と闘い 今では子どもを守ってくれる
 
そう この手こそが 織りに生命を与える 銭もうけしようなどとは
いささかも思わず 苦労をものともせず織り続け 新しい絹布を
産み出すために精を出す
 
娘には家事を教え 肩を並べて織りを教える 織りを永遠に伝えるために
母の手から力が抜けて 動かなくなってしまう前に
 
そして息子には誇りをもたせる 母を愛するならしっかり働けと
絹布にこもった繊細な愛情の糸で 母のように懸命に働き続けよと
教える
 
やがて母の亡き後にも まことの子なら 織り続けていける
 
母から子へ 脈々と機(ハタ)を踏むことができる
新しい生命ある布はまたきっと美しいに違いない
posted by tomo | 11:44 | 採長補短の日々 | comments(0) | trackbacks(0) |
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